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包まれる自我と強度的身体 - エゴン・シーレ展

東京都美術館で「エゴン・シーレ」展を見てきた。

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才<オフィシャルHP>

レオポルド夫妻がコレクションした、エゴン・シーレの作品と彼と同時代に生きたクリムトやココシュカなどの作品が扱われている。

コレクターの存在意義

1950年代にエゴンシーレの魅力を認め、作品の収集と続けたレオポルド夫妻。彼らがコレクションしてまとめて作品を見ることができるからこそ、シーレの魅力を感じることができる。

シーレの魅力

シーレは自画像を多く描いている。が、同時に風景画も描いているし、当時付き合っていた女性をモデルにした裸婦像なども描いている。 自画像と女性画とを対比して見ることで、「世界によって補完される自己」をシーレはイメージしているように感じた。自画像は背景と同化したものが多いのに対して、女性画は輪郭がはっきりしているからだ。

「様式化された背景」の前に置かれた「装飾化された身体」。背景あるいは身体がパターンとして配置されるような均質な空間であるのに対して、身体はイレギュラーで強度のある質的空間を成している。しかしこの背景には、何らかの精神性が含まれている(死が擬人化されて表象されているように)。

シーレが描く自我と世界の関係が、彼自身のイメージから来ているのか、欲望の反映なのかは定かではない。とはいえ、自己が自己として世界から分化しているにも関わらず、自分も世界の一部であるという繊細な感覚の表象として、彼の描く自画像が素晴らしいことは間違いないのではないか。

初めてシーレの作品をまとめて見る機会を得たが非常にいい体験だった。