キリコが「形而上絵画」の名の下で空間構成を再構築していて、晩年の「新形而上絵画」では絵の構成要素が彼自身の過去の作品群に基づくようになるの面白い流れだった。
過去も含めてイメージを実在として捉えてるのはベルクソン的に感じる。骨格を無視して見える要素だけで身体を描いてる感じもイメージ論者っぽい印象だった。
あと、キリコが「無個性」な人を描くためにマネキンをモチーフにしようとしたことからも彼の関心が空間構成に依ってることが感じられた。他方で、無個性的表現だったはずのマネキンが「考古学者」とか「吟遊詩人」としてキャラクター性を持ち始めるあたりがキリコの人間らしさを象徴しているようにも感じた。キャラクター性を獲得したマネキンが彫刻として形になるのはエモさがあるというか、愛着が湧く感じがある。